少し走れば次の灯台が現れる佐渡島で、小佐渡の沢崎灯台から大佐渡の台ヶ鼻灯台までの真野湾は、
これといった灯台に出くわさない退屈な道だ。
もっとも、佐渡の文化や歴史に関心があればそれなりに見どころはあるのだろうが、
灯台めぐりだけが目的で爆走を続ける私には、やはり退屈な道だ。
「喜びも悲しみも幾歳月」
は、あちこちの灯台をロケ地に選んで撮影しているが、
佐渡島でもロケ地となった灯台があって、それが弾埼灯台だ。
私が弾埼灯台の名を知ったのは、ロケ地となった灯台の一覧を見てからだから、やはり映画の力は凄い。。
ロケ地に選ばれるということが、イコール、その灯台の軽重ではないが、画面となった時に見応えがある灯台といえるだろう。
弾埼灯台を辞してから数時間後、佐渡汽船の最終便で佐渡島を後にしたのだが、
しばらくは姫埼灯台と、防波堤のおけさ灯台の点滅が船を見送ってくれていた。
更に沖に出ると、おけさ灯台の灯りは見えなくなり、代わって、弾埼灯台の灯りがいつまでも見えていた。
佐渡の灯台めぐりで、私が最後まで見続けたのは姫埼灯台と弾埼灯台の灯だった。
C 佐渡大埼灯台 (灯塔に触れず)
B 姫津港灯台
G 宮ノ埼灯台
初点プレート 撮影せず‥‥ |
さどおおさき |
1325 [F7106] 北緯 38°05' 8", 東経 138°15' 0" 白色 塔形 コンクリート造 単閃白光 毎6秒に1閃光 光達 16海里 地上〜頂部:10m、水面〜灯火31m 初点 昭和39年4月5日 |
灯台は、国有地を含む尖閣湾揚島観光の敷地にあって、500円の入園料を払ってゲートをくぐらなければ歩いて近づけない。
国有地とは灯台敷地のことか?
尖閣湾揚島観光の施設でもない灯台へ行くのに500円を支払う理不尽さから、初点プレートをカメラに収めるのをあきらめた。
初点プレートマニアの私が断念したということは、相当憤慨したということだ。 いつか、この観光業者には‥‥‥‥。.
道を引き返し、田んぼの端まで行ったら灯台が見えた。 なにも、横着な観光施設に入らなくても、そこそこの写真が撮れた。
そばまで行きながら遠望だけで済ませた灯台は、私の灯台巡りでは、ここの他にはない。
佐渡島には観光ツアーで来ることもあろう。 初点プレートは、その時にでも撮ればいい。
荒凪灯台紀行 表紙 |
小佐渡の灯台 |
★大佐渡の灯台 |
新潟〜富山湾の灯台 |
能登内浦の灯台 |
能登外浦の灯台 |
石川〜越前海岸の灯台 |
敦賀湾〜宮津湾の灯台 |
★ は現在地です |
姫埼、弾埼、沢崎鼻のビッグスリーとはまた一味もふた味も違った意味で、佐渡島で最後に訪問した宮ノ埼灯台も印象深い。
弾埼灯台と両津港の中間点で、海岸から道路を挟んで30mの崖がある。 崖の上は水田だ。
水田に囲まれて宮ノ埼灯台があるのだが、灯台の記号は地図にはない。
土地の人に聞いたら、農道を走る大回りのルートを教えてくれた。
島原半島の口之津灯台はジャガイモ畑の中にあってユニークだが、宮の埼灯台は水田に囲まれている。
写真では、灯塔が水面にボヤっと映っているが、もっとはっきりと、逆さ富士ならぬ、逆さ灯台が写せなかったものか‥‥。
宮ノ埼灯台から両津港は近い。最終便には2時間近くの余裕で到着した。
こんなに早く回れるのなら、沢崎鼻灯台で崖下の海岸まで降りるべきだった。 あとの祭りだが‥‥。
A 佐渡長手岬灯台
@ 台ヶ鼻灯台
E 関岬灯台
佐渡島
大佐渡の灯台
佐渡長手岬灯台は、私がバイブルとしている HP 「日本の灯台」 にも記載がない灯台だ。 そんな灯台を訪ねる時は楽しい。
今回の灯台めぐりに際して、私は潮汐表を見ていない。
だから、海の中にある灯台への訪問が可能かどうかは、行った時が勝負なのだが、佐渡島でも正義は勝った。
波に削られたのか、海面すれすれに岩礁が敷き詰められたようなところを、灯台までコンクリートの歩道が付いている。
その歩道は折れ曲がっている。 なぜ、最短の一直線にしていないのかが理解できない。
その歩道は、満潮時には海面下に隠れそうだ。
潮の干満がゆっくりしたものだと承知していても、初点プレートを撮り終えると、そそくさと岸に戻ろうとする臆病な私なのだ。
D
G
F 弾埼灯台
E
C
B
A
@
台ヶ鼻灯台は飾りっ気はないが、バランスがとれた、いわゆる灯台らしい灯塔だ。
光達距離が15海里に及ばないので、国際番号は付かない。 回廊の下には、台ヶ鼻ヘタノエグリ照射灯が併設されている。
取り付け道路からして、人が訪れるような灯台ではない。 潮騒も聞こえないような灯台だ。
山頂には、閉鎖されてしまっているが休暇村施設があるので、車道は付いている。
施設の駐車場から灯台までは少し距離がある。
楽をしたくて、駐車場からさらに奥へと延びる道に車を入れるとと灯台前まで車で行けた。
似た角度からの写真になってしまったが、車で行ける、という証拠写真を。
この灯台も遠くから姿を見ることができるが、地図に道はない。
灯台下の集落で年配のおじさんに道を聞けば、「車で進入すると土地の人でも脱輪しそうだ」 と言う。
困った顔をしたら、「連れてってやる」 灯台巡回車の助手席はつぶしているので、運転席の後ろに座ってもらう。
自動車で近づくには農免道路を大回りするしかなかった。
そのおじさん、私に会うまで何をしようとしていたのか知らないが、私が写真を撮り終わるまで待っていてくれて
ふもとの集落まで、また灯台巡回車で送って行った。
灯台に併設された照射灯は、入埼沖ノ御子岩照射灯だ。
F
D 入埼灯台
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小佐渡の灯台 |
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能登内浦の灯台 |
能登外浦の灯台 |
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海面すれすれに立って、北西からの風と波を佐渡島で真っ先に受け止める灯台だ。 佐渡で一番印象深い灯台になった。
姫津港灯台は、地形図を見た時から、訪問したくなる灯台だった。
姫津港の沖に3つの岩があり、それらを繋いで防波堤としているみたいだ。 その防波堤には橋がかかっているみたいだ。
ならば、渡れるのじゃないか?
実際の橋はアーチがかった立派な橋だ。 だが、橋の畔には柵があり、扉には施錠がしてある。
売店の人に聞くと、「今日は強風で通行止めにしています」 とのこと。
そこで、「全国の灯台を回っている。 下関から来た。 日にちは今日しかない」
これで押し切った。 すると、店の人は 「柵と扉の間をすり抜けろ」 と言う。昔の私なら無理だけど、
今の私は多少スリム化している。 すり抜けられた。 波は高く、何度かに一度の大波ではしぶきがかかった。