おおさきはな
灯台番号 5633 (F5622) 北緯 33 19 00 東径 132 22
32
塔形 白色 コンクリート 灯質 単閃白光 毎5秒に1閃光
光度 8500 カンデラ 光達距離 20.5 海里
初点 S
25-4-3 塔高 9 灯火 107
地図 高茂崎の先端
展望台の埼 柵・扉なし
「灯台めぐりの旅」
は、海岸風景の中の灯台を訪ねる旅だけど、
灯台ファンの私は、もっぱら陸路を攻める事になるから、海を見ながら灯台にたどり着くケースは稀で、ひたすら山と木を見て登る。
灯台にたどり着いて、そこの展望が開けていれば嬉しいが、藪や木立にさえぎられて展望が効かないと灯台だけを見て帰る。
海上のどこからでも見える
(はずの)
灯台なのに、その敷地に立って海が見晴らせないときはなんとも悩ましい。
宇和海に突き出た大崎鼻は、その意味では展望の開けた嬉しい場所に灯台が立っている。
展望が効かなければ手の打ちようがないが、見晴らしがよくて、案内板の一枚も設置されていれば地元から愛されている証だろう。
大崎鼻からの眺望は、北の佐田岬半島から、南の由良半島までと広範囲だ。
中央に、いつかは行ってみたい日振島があるのも嬉しい。
欲を言えば、もう少し見えるとおりに眺望図を書いてくれればありがたいが。位置関係が分かるから良し、とするか。
灯塔は四角柱だが、底辺を見ると直角は一つもないから台形だ。
細かい設計をしているのだろうが、安直な造り、の感はぬぐえない。
でも、愛想のない灯塔に乗っかっているのは、20.5海里の光達距離を持つ灯器だ。高茂埼と同規格の灯器だろう。
展望台から眺める佐田岬は、霞んではるかに遠い。
途中、3基の灯台を訪ねて、あそこに着くのは何時になるだろう。
順調に行けば、今日中に下関に帰れるか?
高茂岬の駐車場に着いたら既に車が一台。 観光灯台でない、フツーの灯台で人に会うなんて滅多にないことだ。
大きい双眼鏡が据えてある。
豊後水道を越えて九州に渡る鳥の調査だという。 調査している鳥は サシバ(鷹の一種) だ。
天空ではサシバが大旅行をしているが、下界ではトンボが飛んでいた。
北海道からきて、沖縄方面に飛んでいくウスバキトンボ だ
今はトンボだけど、間もなく アサギマダラ(蝶)が渡り始める、と教わった。なんと壮大な大旅行!
私など足元にも及ばない。
灯台への道はキャンプ場に沿って伸びている。
灯台は木立の中で、そばに行くまで姿を現さない。
くもの巣を払いのけながら進む。
渡り鳥を観察に来る人はいても、灯台まで足を延ばす人はいないのだろう。
季節の関係もあろうが、四国はくもの巣が多いところだ。
私は護身用もかねて、ホームセンターで買った鍬の柄を持って歩くが、
その大切な棒切れを興津埼灯台に忘れてきた。
手で払いのけるくもの巣は厄介なものだ。
海抜130mに建てられた灯台は低くても用を成すのだろう。
駐車場から見えないわけだ。
陽は昇って明るい朝7時だというのに、灯火はまだ7秒に1回の点滅を続けている。無駄な事だが、灯台ファンには嬉しい。
その嬉しさよりも、灯台の上空を九州に渡り、台湾からフィリピンまで旅するサシバを、灯塔と一緒に写せたのが嬉しい。
天空を飛ぶ野鳥を写すのは初めてだから、ピントは合わず、構図もヘッタクレもないが。
こうもさき
灯台番号 3129 (5612) 北緯 32 54 12 東径 132 28
44
塔形 白色 コンクリート 灯質 単閃白光 毎7秒に1閃光
光度 8500 カンデラ 光達距離 20.5 海里
初点 S
25-11-2 塔高 6 灯火 142
地図 高茂崎の先端
展望台の埼 柵・扉なし
足摺岬から西へ7〜8kmも進めば 臼碆埼灯台 がある。
叶埼灯台へ向かう際の行きがけの駄賃だ。
訪問予定に入れていたし、当然立ち寄るつもりでいたが、崖の上の県道を走ってしまい、通り過ぎたのに気付いたのが遅かった。
引き返す事も考えたが、叶崎灯台の点灯を見たい気持ちもあって、パスすることに。
臼碆埼をパスする代償として、叶崎の日没に間に合った。
叶崎を通る国道も、岬の部分をショートカットしていて、取り残された旧道は、灯台のための専用道路と思えばいい。
叶崎は、足摺岬ほどのダイナミックさはないが、東から見ても西から見ても絵になる。
灯台は、甲浦灯台に似た歴史を感じさせる。
(灯台ファンから見て) 建てられた場所は、甲浦よりもはるかに恵まれている。
日没前後の灯台をひとしきり撮り終えて、点灯を待った。
室戸岬の点灯は6時8分だった。
叶埼は西に位置するからわずかに日没は遅い。が、一日経過している。
点灯時刻を知らないから、カウントダウンができない。
6時を過ぎてから時計と灯台を交互に見やった。
6時9分。 昨日の室戸岬に遅れること1分。 叶埼灯台に灯りが点った。
やわらかい、優しい灯りだ。この灯りが30kmも届くのだろうか。
車で眠るにはいい場所があったが、得体の知れない男がうろついていたので、宿毛の道の駅
まで走った。
灯台番号 3110 (F5608) 北緯 32 44 39 東径 132 48
18
塔形 白色 八角形 煉瓦造 灯質 5等 閃白光 毎5秒に1閃光
光度 15000 カンデラ 光達距離 17.5 海里
初点 M
44-8-20 塔高 8.3 灯火 40
地図 国道321号貝ノ川、脇ノ川トンネルの中間 柵・扉なし
「四国の灯台を一つ挙げろ」 と言われたら、足摺岬灯台だろうか。
「二つ挙げろ」といわれたら足摺岬灯台と室戸岬灯台か。
三番目に佐田岬灯台が入ってくるだろう。 観光客は、足摺岬が圧倒的に多い。次に多いのは佐田岬だ。
室戸岬はゼロに近いから。
足摺岬と佐田岬の客層ははっきりと異なる。 足摺岬は観光バス単位で、その半分は 「お手軽八十八ヶ所巡り」
の人たちだ。
佐田岬は自家用車とバイクの小グループだ。
これらの差異は、灯台そのものの違いから来ているようだ。
足摺岬には30年前に訪れたことがある。
その時、灯台に触ったかどうか記憶にない。だから、今回は初訪問と変わらない。
切り立った崖の上に立つ灯台の姿も、灯台そのものの姿も見覚えがあるような気になるが、数多くの写真で見慣れているに過ぎない。
改めて、というか、初めて眺めてみると、確かにいい灯台だ。
ロケーションも、灯塔も絵になる。
灯台をイメージとして浮かび上がらせるには格好の素材だろう。
添乗員氏やガイド嬢が、小旗を振りながら先導したくなる灯台だ。
足摺岬は自殺の名所 (だった) らしい。 それは、田宮虎彦の 「足摺岬」
の影響だというが、主人公は自殺を諦めて帰京しているのに。
『
烈しくじりじりとやきつく日差をうけて私はまた足摺岬にあるいていった。(略) 蒼い怒濤がはてしもなくつづいて、
鴎が白い波がしらを這ってとんでいた。砕け散る荒波の飛沫が崖肌の巨巌いちめんに雨のように降りそそいでいた。
巨大な石の孟宗をおし並べたように奇岩が海中に走っている。』 作中で、足摺岬について描かれた部分だ。
灯台番号 3101 (F5602) 北緯 32 43 14 東径 133 01
22
塔形 白色 塔形 コンクリート 灯質 群閃白光 18秒を隔て毎12秒間に3閃光
光度 2000000 カンデラ 光達距離 20.5
海里
初点 T 3-4-1 S 35 改築 塔高 18.1 灯火海抜 60.6
地図 三十八番金剛福寺の前の岬 柵・扉なし
灯台番号 3099 (F5601.6) 北緯 32 46 58 東径 133 00
16
塔形 白色 塔形 コンクリート 灯質 単閃白光 毎15秒に1閃光
光度 75000 カンデラ 光達距離 19 海里
初点 S
37-3 塔高 10.8 灯火海抜 51
地図 県道足摺岬線の脇 柵・扉なし
サシバは
上昇気流を探してる?
かなえさき
あしずりみさき
白ノ鼻灯台への挑戦では、行く手を草木の茂みに阻まれ断念した。 興津埼灯台では、どこまでも続く山道に、心細い気持ちで運転した。
記憶に残る2基の灯台訪問の後に、名にしおう清流・四万十川を渡った。 昔、高知から仕入れた鰻を蒲焼にして売ったことがある。
私が作った宣伝文句では
「あの、日本一の清流 四万十川が流れる高知県から仕入れた鰻云々」 と謳ったのに、
多くの顧客は 「四万十川の鰻」 と受け止めたらしい。
非難を浴びたが、私は間違いを言っていない。多少紛らわしいが。
ゆったりと流れる四万十川にあわせて国道321号をゆったりと走る。
川に沿った道もいいものだ。
灯台めぐりの次のテーマとして、今度は清流めぐりを考えてみようか‥‥。
いよいよ足摺岬の半島に入って、窪津埼灯台に向かうには県道に乗り入れなければならない。
蒲生田岬の再現だ。
道路が整備されている事に関してはピカイチの山口県から来ると、四国の県道は辛い。遅々としながらも改良されつつあるが。
窪津埼では、それが滑稽なカタチで示されている。
岬の先端に沿っていた道をショートカットしたために、灯台が孤立してしまっている。
道路に背域を削り取られた窪津埼灯台は、採石場に背域を削られた部埼灯台みたいで、なんとも情けない景色になる。
ただ、工事の結果、道路わきの立地になったから灯台を訪問するには好都合だ。
灯台は竹藪と同居で、展望は効かない。
くぼつさき
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4 足摺岬から宇和海の灯台
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