弁天島に滞在した1時間、海霧が晴れることはなかった。
しかし、用心深い私は3日前、晴れた日の大間埼灯台を下見に訪れている。 
遠望だけど、晴れた日の灯台を撮っておいてよかった。

大間埼灯台
おおまさき とうだい
 41°33'07"N  140°54'54"E
 黒地に白横帯 塔形
 第4等 群閃白光 毎30秒に3閃光   120,000カンデラ
 光達距離 17.海里 (約31km)
 地上〜頂部:25.4m 水面〜灯火:36m
 初点灯 大正10年11月1日  昭和28年8月20日 改築

むつ市で連泊していて、5日の朝は4時半に目が覚めた。 ゆっくり走っても、7時には大間港に着いてしまった。
本州最北端の碑がある大間崎の展望所で海を見る。 何も見えない!  濃い海霧だ。
300m先のゲンベイ礁灯標がかすかに見えたが、それもすぐに隠れてしまった。
グワァァ〜ン。 下関から来たのに‥‥。 今日まで待ったのに‥‥。 駄目か !?

気を取り直して約束の場所まで行った。 当直の方は起きていた。 渡船に電話してくれた。
「弁天島に渡る人が、もう、来ちゃったけど、今からでもいい?」 どうやら、いいらしい。 1km先の乗船場所を教えられた。
大間港の赤灯台、白灯台を過ぎるといよいよ霧は濃くなった。
船がどこをどう進んでいるのか分からない。 五里霧中だ。 50m先が見えない。
突然、船着き場が現れた。 渡船は1時間後に迎えに来てくれることになって、上陸だ。
上陸後、鴎の糞を踏みながら少し歩いたら、大間埼灯台が、霧の中からヌッと姿を現した。

大間埼

5月5日

高野埼














歌の文句につられてきたのか、観光客が多い。 観光客の多さでは入道埼の方が多かったが、最果てファンは展望台へと急ぐ。
展望台に行っても、この日、北海道は見えなかったのだが、何も見えない展望台に急ぐ。
しかし、その途中にある龍飛埼灯台に立ち寄る人はいない。 せいぜい、敷地の入り口に立つ燈後会の案内板を読む程度だ。
その位置で、灯台をバックに写真を撮っている。 北海道が見えなかったから、代わりに灯台を背景に?

私も展望台には、行った。 行ったが、展望台から振り返って灯台を撮るために。
手をかざして、見えない北海道を探そうとしないで、灯台の周りをぐるぐる回っている私の方が異常みたいだ (笑)

遠くに小泊岬に続く海岸線が見える。 が、小泊岬北灯台がある先端部分は、私の汗と涙で発生したガスの中だ (笑)
東シナ海の女島灯台が、灯台に職員が常駐する最後の灯台だった。 終りから二番目が、この龍飛埼灯台だ。 
陸の孤島も、いまでは地下を青函トンネルが走っている。

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平舘灯台
たいらだて とうだい
 41°10' 20"N  140°38' 47"E
 白色 塔形 コンクリート造
 単閃白光、毎5秒に1閃光   82,000カンデラ
 光達距離 14.5海里(約26.8km)
 地上〜頂部:23m、水面〜灯火:23m
 初点灯 明治32年4月1日  昭和35年12月 改築
 

平館灯台も道の駅に隣接している。 ところが、この道の駅、経営が成り立たないのか、GWの真っ最中だと言うのに閉鎖。
更に灯台に近い場所にペンションがあったが、こちらは満室。 灯台だけを観ることにした。

周囲に何もない浜辺に立っているから、随分と大きい灯台に見える。 事実、大きい。
灯台のそばに、霧笛が野外展示してあるが、説明板も何もないのでは、訪れた人もただ見るだけで終わってしまうだろう。
平舘灯台の霧信号業務は昭和61年で廃止しているから、その当時の記念、という説明板くらいは設置なさったら?
これは海保に言うべきか。 それとも教育委員会に言うべきか。
それにしても、むつ湾の入り口で、青函航路 (だけ) を見守る灯台としては立派だ。 初点灯も明治だ。

安井埼

●浅虫

5月3日


還暦を過ぎたオジサンが、本州の最西端から最北端までの長旅だ。
旅程に余裕を持たせるのは当然だろう。
ところが、気力体力に衰えが見えず、時間を持て余してしまった。
下北半島に到着して、すぐにも大間崎の弁天島に渡りたかったが、
手配した渡船は二日待たなければならなかった。
弁天島に渡った日は濃い海霧だったが、下見に訪れた日は、
晴れて、荒れたクキド瀬戸越しに灯台と灯標を見た。

陸奥大島

5月2日

陸奥大島灯台
むつ おおしま とうだい
 41°01' 0"N  140°52' 3"E
 白色 塔形 コンクリート造
 単閃白光、毎7秒に1閃光
 光達距離 14海里
 地上〜頂部:9.7m、水面〜灯火:42m
 初点灯 昭和24年5月
 

浅虫温泉から30分も走ると大島が見える。 地形図で見た想像以上に大きな島だ。 と言うことは、あの先端まで歩くの !?
道は整備されている。 ハイキングコースだ。
春を待って、道の両脇には可憐な草花が咲いている。 二つ目の高所を越えると燈台が遠望できる。 
ラクダの背を越えて直登。 小粒ながら、好感が持てる灯塔だ。
早朝の程良いハイキングを味わえたのも、いい。

高野埼灯台
たかのさき とうだい
 41°13' 32"N  140°33' 09"E
 白地に赤横線2本 塔形 コンクリート造
 等明暗白光、明3秒暗3秒    5,800カンデラ
 光達距離 16海里
 地上〜頂部:10m、水面〜灯火:35m
 初点灯 昭和41年1月9日

国道わきの駐車場から、丘陵をだらだらと下って行くと、赤帯2本の灯塔が見える。
良く見かける灯塔の形だが、赤帯を巻いているだけで、西日本の灯台ファンには存在感を持った灯台に見えるから不思議だ。
私が、根っからの黒帯を巻いた灯台のファン、次いで、赤帯を巻いた灯台のファンということもあるが‥‥。

岬の先端には朱塗りの太鼓橋を渡って海岸まで近付けるが、
そこまで行っても、灯台をとらえるアングルに大差はないと判断して行かなかった。
そろそろ、今晩どうするかを考え始めていたのもあるが、
この日のメインイベント、小泊岬の南北の灯台訪問を終えて、多少、行動力に翳りが見えていた。
至近距離なのに、海岸がやたら遠くに思えたのだ。

青森の灯台2

2010. 5. 3 〜 5

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安井埼灯台
やすいさき とうだい
 40°57' 7"N  140°58' 8"E
 白色 塔形 コンクリート造
 等明暗白光、明2秒暗2秒
 光達距離 13海里
 地上〜頂部12m、水面〜灯火:25m
 初点灯 昭和24年5月
 

円筒形の菅島灯台を、立方体にしたような、とでもいおうか。 ユニークな灯塔だ。
私は、最近あまり見かけないけれど 「仁丹」 の商標を連想した。

灯台近くの畑で作業している方と話をしたら、他にあまり例を見ない灯塔なのに、あれが灯台の形だと思いこんでいるようだ。
世間の一般的な灯塔の形を説明したら、
「そういえば、あの灯台は戦後、北朝鮮からの人 (引き揚げ者? or 朝鮮の人?) が労務に駆り出されていたから、
あんな形になったんかのう」 と。
労務に駆り出された人が設計の図面を引くわけはないが、「そういうことなんですかねェ」 とだけ言って、その方と別れた。
初点は昭和24年だから、時期的には、戦後の建築は間違いない。 北朝鮮にゆかりの人が建設に駆り出されたのだろう。

地上〜頂部:23m、水面〜灯火:23m だと、海抜0mに近い


さすがのヒットメーカー・阿久悠も、この岬が龍飛埼 (龍飛崎) と知っていたのか知らなかったのか、
それとも龍飛崎では語呂が悪かったのか、竜飛岬が通り相場になってしまった。 阿久悠と石川さゆりの責任だ (笑)
ちなみに、往時の青函連絡船の船室から、この龍飛埼を観ることはできなかった、
というから、阿久悠もいい加減な男で、その歌につられてくる観光客もいい気なものだ。 (私は阿久悠の詞は好きだが)

龍飛埼灯台
たっぴさき とうだい
 41°15' 21"N  140°20' 45"E
 白色 円形 コンクリート造
 第3等 群閃白光、毎21秒をへだて7秒間に2閃光
 410,000カンデラ   光達距離 27海里(約50km)
 地上〜頂部:14m、水面〜灯火:119m
 初点灯 昭和7年7月1日

鰺ヶ沢、五所川原、金木、十三湖など、歌で聞いたのか、太宰の小説に出て来たのか、
それとも紀行番組で取り上げられる頻度が高いのか、地名だけを知っている場所を通り抜けて津軽半島の北端まで来た。、
小泊岬から北に入ると、景色は荒涼としてくる。 飽きるほどのカーブの連続の末に、龍飛埼が目に入る。

平舘

龍飛埼

小泊岬

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