伊豆半島と能登半島は地理的に真反対に位置しているから、気候気象も、風土も、何もかも真反対のように思える。
それなのに、伊豆半島の石廊埼崎灯台と、能登半島の禄剛埼灯台に相通じるものを感じるのだ。
伊豆半島は、半島だけで伊豆の国を形成し、大きく南に突き出した半島の最果てに石廊埼灯台が立つ。
能登半島も然り。 能登半島だけで能登の国を形成し、先端が禄剛埼灯台だ。

半島として大きすぎず、小さすぎず、面積に相応する人口を抱え、台風と雪の違いはあるが過酷な自然災害に耐え、
海と山野に生活の糧を求めるしかなかったところも二つの半島に共通している。
石廊埼灯台と禄剛埼灯台に関して言えば、そこは 「陸尽き、海始まる」 場所で、そこから先には何の希望もない場所なのだ。
そこまで来た人は、引き返すしかない場所なのだ。

上手く言えないけれど、ちっぽけな岬の灯台では感じない、押しつぶされるような重苦しさを感じるのだ。
5月の禄剛埼灯台も、11月の石廊埼灯台も天候には恵まれて、明るかった。 それなのに。

石廊埼灯台はブラントンの設計で、明治4年に初点灯している。
ブラントンには珍しく木造だったから、昭和7年の暴風で大破し、翌8年に再建されている。
首都圏に住む人々は、台風が刻々と接近する様子を石廊埼の映像から知ることも多いだろう。
佐多岬灯台、室戸岬灯台、潮岬灯台、御前埼灯台、石廊埼灯台‥‥、台風の見張り番でもある。

波勝岬 (はがちさき) 灯台

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灯台から、強烈な日の出を見た

爪木埼 (つめきさき) 灯台

D

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おそらく、駿河湾越しに富士を眺めるのなら、
大瀬埼からが一番だと思う。

しかし、灯台の背後にぴったりと防衛省の研究施設が
無粋な有刺鉄線に囲まれて建っている。 無粋だ。

34°58' 20"N,  138°46' 01"E   白色 塔形 コンクリート造
無等、等明暗白光 明3秒暗3秒   2,000カンデラ (11M)
光達距離 13海里   地上〜灯火:11.6m、水面〜灯火:17m
初点灯 昭和27年2月

戸田 (へだ) 灯台

防波堤の先端にある灯台だが、
防波堤灯台ではない。
灯台の近くにはヨットが係留され、
廃屋らしきものも見えるから、
行って行けなくもなさそうだが、
地形図に小径の表示もないから
対岸の灯台としてやり過ごした。
海鳥が多い港だった。

34°41' 15"N,  138°44' 36"E   白色塔形鉄造
単閃白光 毎5秒に1閃光   800,000カンデラ (25M)
光達距離 27海里   地上〜灯火:13.9m、水面〜灯火:116m
初点灯 昭和52年3月
34°35' 58"N,  138°50' 54"E   白色塔形コンクリート造
LB-H40 単閃赤白互光 毎16秒に赤1閃光、白1閃光
白光60000カンデラ 赤光67000カンデラ   光達距離 20.5海里(約38km)
地上〜頂部:11.38m 水面〜灯火:59.54m   初点灯 明治4年8月21日

石廊埼 (いろうさき) 灯台

下田 (しもだ) 灯台

灯塔は典型的な防波堤灯台だ。
機能も防波堤灯台のそれだろう。
写真では見ていたので
別段、ガッカリはしなかったが、
「下田」 という名を冠するなら
もう少し、どうにかしてほしい‥‥と。

34°39' 03"N,  138°57' 33"E   白色塔形
等明暗白赤光、明3秒暗3秒   5000カンデラ (13M)
光達距離 12海里   地上〜頂部:8m、水面〜灯火:15m
初点灯

岬に立つ灯台で、かつては道路わきに立っていても、
トンネルで道路はショートカットされ、
廃道の脇に置き去りにされたものも多い。
伊豆網代灯台もそんな灯台の一つだ。

遠くからの訪問者は、トンネルの入り口に駐車するか、
トンネルを出てから駐車するか迷うところだが、
ネットで得る情報は、駐車場所まで教えてくれる。

出かける前にネットで調べておいて、
カーナビをセットすれば、ほぼ間違いなく灯台にたどり着く。
灯台にたどり着くのは当たり前で、
いかに時間の無駄なくたどり着けるかが問われ始めている。
便利な世の中になったものだ。

伊豆網代灯台は初島に対峙しているが、
遠い伊豆大島のほうが絵になる。

神子元島灯台 須崎から

下関に住んで30年余。 その前の4年間は伊豆の伊東にいた。
その4年間に、50cc で伊豆半島を2度回っている。 爪木埼が水仙の花盛りと聞けば爪木埼にも行っている。
でも、灯台を訪れてはいない。 水仙は観ても、灯台を見ていないのだ。
今にしてみれば、伊豆半島も灯台の宝庫なのにモッタイナイことをして4年間を過ごしたものだ。

伊豆網代灯台から新宇佐美トンネルを抜けると、一気に海に駆け下る。 はるか前方にサンハトヤの白い建物が見える。 
「あそこから伊東だ!」 ジーンとこみあげてくるものが‥‥。
東回りで伊豆を回ると、東伊豆では伊豆大島を、南伊豆では神子元島を、西伊豆では富士山を眺める旅だ。
神子元島は灯台ファンを惹きつける島だ。 いつの日か。 富士は西国からの旅行者を喜ばせる山だ。 荘厳だ。

灯台めぐり 「三半島物語」 目次 
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復路 (三保ノ松原 ・ 菅島) GO

このページの灯台訪問記はブログにもあります こちら です

リアウインドとドアミラーに映った灯台だから、鏡文字と同じ理屈で左右が逆だ

灯台と富士のツーショットは
こんな角度でしか撮れない。
次回訪問するときは
(もう、無いかも知れないが)
脚立を持参するとしよう。

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35°01' 38"N,  138°47' 29"E   白色 塔形
群閃白光 毎13秒に3閃光   8,500カンデラ
光達距離 13海里   地上〜灯火:13m、水面〜灯火:16m
初点灯 昭和32年11月

伊豆大瀬埼 (いずおおせさき) 灯台

灯台を取り巻く樹木の、わずかな切れ目から富士山が!
苦労してたどり着いた巡礼者へのご褒美?

安良里 (あらり) 灯台

しかし、辛かった。
山道を上りつめて、やっと尾根に出ると、今度は奈落の底に落ちるかのように鉄梯子を下る。 どこまでも下る。
「いい加減にせい!」 と思った頃、不意に鉄製の灯塔が現れる。 恐怖映画なら、効果音の一つも出るところだ。
狭い灯台敷地では写真撮影もままならず、引き返すとなると、長い、長い鉄梯子を登って、また登らなければならない。
膝の痛みを騙し騙ししながらここまで来たが、波勝岬灯台への往復で、もう、グチャグチャダだ。

「それでもあなたは灯台めぐりを続けますか?」  リトマス試験紙だ。 私にリトマス試験紙の結果を聞くのは野暮、だ (笑)

しかし、ネットの情報量は偉大で、先達の諸氏が訪問記を載せてくださっている。

   
日本の灯台 Lighthousu of Japan 静岡県→波勝埼灯台
   
かんめしブログ 2008年12月24日 波勝埼灯台の項の 「行き方」

この2サイトの情報には助かった。 
ここから得た情報が無ければ、私の波勝埼灯台訪問は実現しなかったかもしれない。

灯台めぐりを計画して、訪問したい灯台をリストアップする。 どうしても行きたい灯台というのは、ある。
その中に、外すわけにはいかないけれど、気が重くなる灯台もある。
例えば陸中海岸のトドヶ埼灯台。 でも、トドヶ埼灯台は、往復するのに時間がかかるというだけのことだ。
前回の 「荒凪灯台紀行」 では、能登の猿山灯台が難物だった。 猿山灯台はまだいい。 
国土地理院の地形図に灯台に至る小径が記載されているから。
今回の 「三半島物語」 では、西伊豆の波勝崎灯台が最大のネックだった。 国土地理院の地形図には、小径の記載もない。 
灯台に至る道はない、ということだ。 これほど気を重くすることはない。

34°38' 54"N,  138°58' 06"E   白色 塔形 コンクリート造
無等、明暗白、緑、赤光、明3秒暗1秒   光達距離 16海里(約29km)
白光14,000カンデラ、緑光:4,200カンデラ、赤光:2,800カンデラ
地上〜頂部:13.1m、水面〜灯火:31.4m   初点灯 昭和47年1月27日

私の灯台めぐりでは、(基本的に) 防波堤灯台、灯標、照射灯、指向灯は無視している。 限られた時間で、キリがないから。
須崎恵比須島指向灯を訪ねたのは他でもない。 断崖下にあって近づけない下田灯台を横から眺めるためだ。
しかし、実際に行ってみると、近づけない灯台よりも、近づける指向灯のほうが可愛くなる、ということもある。

須崎恵比須島 (すざきえびすしま) 指向灯

爪木埼灯台は面白い灯台で、自分の案内はそこそこに、はるか南の神子元島灯台を案内している。 見れば行きたくなる。

34°39' 20"N,  138°59' 23"E   白色塔形 コンクリート造
無等、単閃白光、毎4秒に1閃光   15,000カンデラ
光達距離 17海里(約31km)   地上〜頂部:17.32m、水面〜灯火:37.83m
初点灯 昭和12年4月1日

30余年前、水仙を観に爪木崎を訪れながら、灯台には行かなかった。 灯台ファンになってからも忸怩たる思いだった。

34°45' 54"N,  139°03' 02"E   白色 四角形 コンクリート造
無等、群閃白光、毎15秒をへだて15秒間に4閃光   900,000カンデラ
光達距離 20海里(約37km)   地上〜頂部:19m、水面〜灯火:56.6m
初点灯 昭和47年3月25日

灯台の多くは人里離れた辺鄙な場所に建つ。 細い山道が続いていようものなら感謝感激だ。
稲取岬灯台は、稲取温泉旅館街の小高い山に建つ。 側には旅館が建ち、公園もある。
車道があるから灯台敷地まで車で入れる。 ただし道は細くて分岐が連続し、カーナビに頼っても進路を見失う。
旅館の送迎用のマイクロバスが走っていることが信じられない。
とはいえ、灯台脇まで車で行ける嬉しい灯台だ。  
到着は6時。 点灯していたが、灯質は灯台表と異なる。 単閃白緑互光が正しい、か。

稲取岬 (いなとりみさき) 灯台

この後、伊東に引き返した。 旧い友人が3人集まってくれていた。 十余年ぶりの再会で、懐かしく楽しく過ごした。
飲んで騒いで、旧友と別れて一人夜の街を歩いたら人影もなく、街からは活気が感じられず、すこし哀しかった。

34°53' 14"N,  139°08' 36"E   白色六角形 コンクリート造
単閃白光、10秒毎に1閃光   100,000カンデラ
光達距離 18海里(約33.3km)   地上〜灯火:22.5m、水面〜灯火:43.7m
初点灯 昭和35年3月1日   平成7年4月 塗色、構造、灯質、高さ変更

ロス・プリモスが唄う 「城ヶ崎ブルース」 は、私のカラオケの十八番だ。
が、伊東にいた頃も、離れてからも城ヶ崎の海岸を訪れたことがない。 灯塔の形状を見ると、今回も気乗り薄だったが‥‥。

フツーの
灯台の格好をしていないと
初点プレートを
撮り忘れてしまうんです

伊東にいたころ、
川奈は遠いと思っていたが、
ゴルフをしない私には
今も遠い存在だ。

門脇埼 (かどわきさき) 灯台

川奈ホテルゴルフ場に隣接、
ゴルフのティーをかたどった
デザイン灯台。

34°57' 07"N,  139°08' 52"E   白色 塔形(三本脚)
等明暗白光 明2秒暗2秒   5000カンデラ (13M)
光達距離 19海里   地上〜灯火:13m、水面〜灯火:54m
初点灯 昭和32年3月

35°02' 30"N,  139°06' 12"E   白色 塔形 コンクリート造
等明暗白光 明3秒暗3秒   2,000カンデラ (11M)
光達距離 17海里   地上〜頂部:9.8m、水面〜灯火:43m
初点灯 昭和31年1月

灯台名の をクリックして下さい


次は                  です

富士の素晴らしさは、
どこから見ても富士
というところだろうか。
湘南から、西伊豆から、
今回は堪能した。
西国からの旅行者には
嬉しい景色だ。

この灯台の背景から
富士を取り去ったら‥‥、
考えるだけで恐ろしい

こんな写真は撮りたくないけど、苦し紛れというか、悔し紛れだ。

34°49' 30"N,  138°46' 05"E   白色 塔形
等明暗白光 明3秒暗3秒   5,000カンデラ (13M)
光達距離 12海里   地上〜灯火:11.2m、水面〜灯火:13m
初点灯

川奈埼 (かわなさき) 灯台

伊豆網代 (いずあじろ) 灯台

江ノ島灯台展望室から

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